ここ最近急速に日本でも認知されるようになった印象のRoccat。工業大国ドイツの生み出すマウスとなれば期待しないわけにはいきません。同社のIE3.0シリーズ「Kone Pure」の最新機種を交えつつ、その実力を考察してみたいと思います。
目次
はじめに
アイキャッチ画像のマウスはRoccatと全くの無関係です。ご注意下さい。
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IE3.0クローン ゲーミングマウスを探せ!【Logicool編】
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この記事からご覧になられている方は、先に上の記事を参照して頂ければ幸いです。
端的に言えば、「愛用していたG403 Prodigyが故障した。代わりとなる至高のIE3.0クローンマウスを探そう」という企画。今回は第5回Roccat編です。
【第5回】Roccatゲーミングマウスとの比較
私がRoccatというブランドを知ったのは4年ほど前のこと。当時はほとんどその名は聞くことはなく、Mionixあたりと並んで「日本ではマイナーだけど欧州では人気のゲーミングマウス」みたいな取り上げられ方でした。ドイツ製ということで当時も大いにそそられたわけですが、取扱店が少なく高価な並行輸入品ばかりで諦めたように記憶しています。
それから数年、Roccatはすっかり日本でも知名度を獲得したよう。インターネットで少しゲーミングマウスについて調べれば、あちらこちらでレビューがなされています。地元の地方PCショップでもコーナーの一角を占めて販売されています。
そんなわけで個人的にはふたたび最も関心を寄せているブランドRoccat。IE3.0クローンのKone PureシリーズはG403 Prodigy(以下、G403)に対してどのような性能を示してくれるのでしょうか。
G403 (参考) | Kone Pure Ultra | Kone Pure Owl-Eye | |
---|---|---|---|
ブランド | Logicool G | ROCCAT | ROCCAT |
最安価格 [円] | 5,509 (購入価格) |
9,780 | 5,480 |
ボタン数 | 6 | 7 | 7 |
縦×横×高さ [mm] | 124 x 68 x 43 | 115 x 70 x 39 | 115 x 70 x 39 |
本体のみ重量 [g] | 87.3 - 97.3 | 66 | 88 |
ケーブル込重量 [g] | 135 | 非公開 | 非公開 |
解像度 [DPI] | 200 - 12000 | (50 -) 16000 | (100 -) 12000 |
トラッキング速度 [IPS] | 400 | 非公開 | 250 |
加速度 [G] | 40 | 50 | 50 |
レポートレート [Hz] | 125 / 250 / 500 / 1000 | 1000 | 1000 |
LoD [mm] | 非公開 | 調整可 | 調整可 |
センサー | PixArt PMW 3366 | ROCCAT Owl-Eye | ROCCAT Owl-Eye |
耐久性 [クリック] | 2000万 | 非公開 | 5000万 |
統合ソフト | 有 G HUB |
有 Swarm |
有 Swarm |
保証期間 [年] | 2 | 2 | 2 |
* 最安価格、発売時期は価格.com調査によるです(2019年12月調査)
* ()表記は法人運営の第三者ソースによるものです。
Kone Pure Ultraの考察
良いところ
ココがおすすめ
- 圧倒的な軽量性。G403比で21グラム軽量
- 非常に幅広いDPIレンジ。G403比で上限+4000、下限-150
- LoDの調整が可能と明記
圧倒的な軽量性が際立ちます。60グラム台というのは今回の企画の中でも唯一の数値です。ほかを全く寄せ付けない軽さと言えるでしょう。
センサー性能においても、非常に幅広いDPIレンジが目を引きます。一人でその全てを使用することはないでしょう。しかし、これだけ幅広いレンジを備えれば、より多くの人の好みに対応できることは間違い有りません。
リフトオフディスタンスについて触れられていないメーカーが多い中、公式でリフトオフディスタンスを1mm以下まで調整可能と明記されている点も評価に値します。
残念なところ
ココがダメ
- G403比で4000円高と非常に高価
- 腑に落ちない非公開の項目
非常に高価な点はかなりの痛手です。ほぼ1万円という価格をどう捉えるか。より安価でも優れた製品が多い中、なかなか苦しい印象を受けます。
トラッキング速度やクリック耐久性が未公表である点もなんとなく気持ち悪いです。後述の旧機種「Kone Pure Owl-Eye」では普通に公表されています。なぜこのハイエンド製品に限ってそこを隠す必要があるのか。いろいろと勘ぐってしまいたくなります。
Kone Pure Owl-Eyeの考察
良いところ
ココがおすすめ
- 程よい価格。僅かだがG403より安い
- G403と同程度の程よい軽量さ
- G403を3000万回上回るクリックへの高い耐久性
- LoDの調整が可能と明記
比較的安価な価格が嬉しいポイントです。価格差はわずか30円ほどですが、ここまでの調査でG403より安価な他の製品はMicrosoft Pro IntelliMouseのみです。
重量もほぼG403と同程度。G403の軽さは実際に使ってみて体感していることなので、それに近いということは安心感が持てます。
メインボタンのクリック耐久性が3000万回多い点も嬉しいポイントです。SteelSeries Rival 310の考察でも触れましたが、私の場合は5年程度使用できそうです。
Kone Pure Ultra同様、公式でリフトオフディスタンスを調整可能と明記されている点も、こだわりのあるユーザーにとってこの商品を選びやすい要素でしょう。
残念なところ
ココがダメ
- なし
Razer DeathAdder Elite以来の欠点と思われるポイントがない製品です。数値面で見ればトラッキング速度がやや低いですが、体感が難しいと言われる要素なので欠点とはなりえないでしょう。
レポートレートの1000という数値も、個人の方のブログなど見る限りでは固定ではなく他社と同水準で調整可能な模様。
それでいいのかという気もしますが、本当にこれと言って欠点のないマウスという印象です。
まとめ
Kone Pure Ultraはとにかくその軽さが目を引きます。比較検討した他のマウスはその多くが80グラム以上であるなか、60グラムというのは驚異的な軽さです。
調べた範囲で同じような軽さを実現しているマウスはすべて穴あきタイプのものでした。あのデザインは受け付けないけどマウスは軽くあって欲しい人には救世主のような存在です。
唯一の欠点の価格も、発売時期を考えれば許容するべきなのでしょう。
Kone Pure Owl-Eyeは、G403と比較してほぼ同様の性能で、かつ同程度に安価というのが非常に嬉しいポイントです。性能面では特筆すべきことはありませんが、耐久性が非常に高い点はG403の数少ない欠点をも補った存在と捉えることができます。
率直に言えば、ここまでの比較の中でよく似た性質を示したSteelSeries Rival 310を、完全に食ってしまっているような印象です。性能面はほぼ同程度で、保証期間は1年長く、実売価格は1,000円以上安い…。
両者、それぞれ異なる方向性で非常に優れた性質をもっていることを伺わせる比較でした。Kone Pure Ultraの価格は個人的には悩ましいポイントです。しかし、そこも含めて他社製品と比較するべく、両者最終候補に残しておこうと思います。
余談
以下、本題には無関係な話です。
こうして多数のメーカーの色々な製品を比較検討してきたわけですが、どの製品も切り捨てるほどダメダメということもなくて、我ながらメリハリのない企画になっているなぁ、という印象。
カタログスペックのみでは大きな差がないことも多く、やはり実際に手にとって考察が行えるようになりたい所存。メーカー提供を受けられるレベルになるよう頑張ろうと、がめつい決意を固める今日このごろでした。