NTTドコモの4G(LTE)通信サービス「Xi」の提供開始から10年を目前にして、ついに2020年3月25日から次世代通信サービス「5G」の提供が開始されはじめました。
今回は同3月25日から6月にかけてドコモから発売される5Gスマートフォンを比較し、どのように端末を選択すればよいか検証してみたいと思います。
はじめに
本稿は、執筆時点(2020年3月25日)でドコモおよび各製造メーカーの公式サイト上で公開されている情報に基づき記載しています。
第三者の公開する情報については、「噂」などとして触れる場合もありますが、原則的に考慮しないものであることをご了承ください。
特徴が異なるため目的に応じて選択を
執筆時点でドコモから発売が発表されている5Gスマートフォンは以下の6機種となります(カラーバリエーションのGalaxy S20+ 5G Olympic Games Editionsは除く)。
- サムスン Galaxy S20 5G
- シャープ AQUOS R5G
- ソニー Xperia 1 II
- LG V60 ThinQ 5G
- サムスン Galaxy S20+ 5G
- 富士通 arrows 5G
(執筆時点のでの公式サイトの掲載順序に従っています)
多機能なスマートフォンの比較は長くなってしまいますので、先に結論を記載したいと思います。
第一に「これを買っておけば絶対に間違いない」というパーフェクトな機種は存在しません(それに近い機種は存在しますが)。それぞれの機種に特徴や長所・短所が存在するため、ご自身の目的や優先したい機能を踏まえて吟味することが重要です。
これを前提とした上で、「特に注目すべき機能・性能ごとに、どの機種を選択するべきか」について、続いて記載してみようと思います。
5Gの高速通信の最大限活用したいなら
最大の目玉機能5G通信に対応するとされる6機種ですが、実はその通信速度には差があることをご存知でしょうか?
5Gの高速通信の恩恵を最大限活用したいと考える場合、その選択肢は「Galaxy S20+ 5G」と「arrows 5G」の2機種まで絞られます。
そしてこの2機種の選択は、国内メーカーであることやセルフィー(自撮り)機能を重視する場合は「arrows 5G」、全体的に高水準のバランス型を望むなら「Galaxy S20+ 5G」と判断すればよいと思います。
ただし、注意点を挙げるとするならば、両機種ともに「湾曲エッジディスプレイ」を採用していることに留意する必要があります。
ベゼルが目立たず表示領域を広げられるメリットがあるこのディスプレイは、「落下時に破損しやすい」、「隅を触って誤動作してしまう」というデメリットも存在します。
また、「arrows 5G」に限っては、望遠カメラの画素数が他の機種より明らかに劣るという欠点もあるため、多用する場合は他機種も十分に検討することをオススメします。
テレビを視聴したいなら
インターネット経由での動画配信サービスの拡充に伴い需要は低下していると思われますが、テレビを視聴したい方にとってフルセグ・ワンセグへの対応は必須の機能です。そして、これらに対応する機種は、「AQUOS R5G」と「Xperia 1 II」の2つの選択肢に絞られます。
この2機種のその他の特徴を大まかに捉えた場合、無難かつトータルの性能に優れる万人向けの「AQUOS R5G」、縦長かつ最高画素数のディスプレイとα譲りのカメラ性能を備えるメディア機能重視の「Xperia 1 II」と考えればよいと思います。
ただし「AQUOS R5G」に限っては6機種の中で唯一ワイヤレス充電に対応していないことに注意が必要です。
デュアルディスプレイを利用したいなら
昨今徐々に数を増やしつつある2つのディスプレイを備えるスマートフォン。こういった機種を利用したい場合の選択肢は「V60 ThinQ 5G」の一択となります。
ただし、「唯一望遠カメラを採用しない」、「唯一512GB超のSDXCカードに対応しない」といった機能面や性能面での制約があるため、デュアルディスプレイとどちらを優先するか、よく検討する必要があると思います。
携帯性(軽量コンパクト)を求めるなら
大型化とそれに伴う重量化の著しいスマートフォン界隈ですが、iPhone SEシリーズに代表されるよう「小型さ」や「軽量さ」への需要も常に存在しています。
このような携帯性に最も優れる機種は「Galaxy S20」であると言えるでしょう(+無しの無印版であることに注意)。
筐体サイズはもっとも小さく、厚さに関しても最も薄い2機種から0.1ミリ増加したのみ、そして重量についても最軽量というコンパクトな機種を望む人には最適な機種となっています。
ただし、「唯一ToFセンサーを採用しない」という短所もあります。素早いAFを要する撮影や暗所での撮影にスマートフォンを用いることが多い場合、それらを犠牲にしてまで携帯性を重視するかよく吟味する必要があります。
高い基本性能のAQUOS R5GとGalaxy S20+ 5G
ここからは上記のような結論に至った理由を示すため、おおまかな機能別に全6機種を比較し、それぞれの特徴を分析してみたいと思います。結論だけでなく根拠まで把握し納得した上で機種を選びたい方は、ぜひご一読いただければ幸いです。
まず、私のようなスペック厨が大好きな基本性能を比較から始めてみようと思います。
アプリのインストールやバージョンアップ、OSのアップデートなどでRAMやROMの使用率は使用に応じて上昇していく傾向にありますが、スマートフォンの場合これらの問題を根本的に解消する術はほとんどありません。
一つの機種の長期的な運用を考えた場合、ぜひとも最初にこだわっておきたいポイントだと思います。
メーカー | Samusung | SHARP | SONY | LG | Samusung | 富士通 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
端末名称 | Galaxy S20 5G | AQUOS R5G | Xperia 1 II | V60 ThinQ 5G | Galaxy S20+ 5G | arrows 5G | |
型番 | SC-51A | SH-51A | SO-51A | L-51A | SC-52A | F-51A | |
サイズ | 高さ | 約152mm | 約162mm | 約166mm | 約170mm (約170mm) |
約162mm | 約164mm |
幅 | 約69mm | 約75mm | 約72mm | 約78mm (約166.3mm) |
約74mm | 約76mm | |
厚さ | 約7.9mm | 約8.9mm | 約7.9mm | 約9.2mm (約15.0mm) |
約7.8mm | 約7.8mm | |
重量 | 約163g | 約189g | 約181g | 約218g (約353g) |
約186g | 約170g | |
OS | Android 10 | Android 10 | Android 10 | Android 10 | Android 10 | Android 10 | |
CPU (SoC) |
Qualcomm Snapdragon 865 2.8GHz+1.8GHz オクタコア |
Qualcomm Snapdragon 865 2.8GHz+1.8GHz オクタコア |
Qualcomm Snapdragon 865 2.8GHz+1.8GHz オクタコア |
Qualcomm Snapdragon 865 2.8GHz+1.8GHz オクタコア |
Qualcomm Snapdragon 865 2.8GHz+1.8GHz オクタコア |
Qualcomm Snapdragon 865 2.8GHz+1.8GHz オクタコア |
|
メモリー | RAM | 12GB LPDDR5 | 12GB LPDDR5 | 8GB | 8GB | 12GB LPDDR5 | 8GB LPDDR5 |
ROM | 128GB | 256GB UFS3.0 + WriteBooster対応 |
128GB | 128GB | 128GB | 128GB | |
外部メモリー | microSDXC (最大1TB) |
microSDXC (最大1TB) |
microSDXC (最大1TB) |
microSDXC (最大512GB) |
microSDXC (最大1TB) |
microSDXC (最大1TB) |
|
ディスプレイ | 種類 | Dynamic AMOLED 2X | Pro IGZO | 有機EL シネマワイド ディスプレイ | 有機EL×2 | Dynamic AMOLED 2X | 有機EL |
サイズ | 約6.2インチ | 約6.5インチ | 約6.5インチ | 各 約6.8インチ | 約6.7インチ | 約6.7インチ | |
解像度 | 3,200 x 1,440ドット Quad HD+ |
3,168×1,440ドット Quad HD+ |
3,840×1,644ドット | 各 2460×1080ドット フルHD+ |
3,200 x 1,440ドット Quad HD+ |
3,200 x 1,440ドット Quad HD+ |
|
湾曲エッジ | ○ | - | - | - | ○ | ○ | |
デュアル | - | - | - | ○ | - | - | |
USB | 形状 | USB Type-C | USB Type-C | USB Type-C | USB Type-C | 不明 | USB Type-C |
バージョン | USB 3.2 Gen1 | USB3.1 SuperSpeed | 不明 | 不明 | 不明 | 不明 | |
Bluetooth | 5.0 | 5.1 | 5.1 | 不明 | 不明 | 5.1 |
軽量コンパクトで高スペックなGalaxy S20 5G
Galaxy S20 5Gはそのサイズと重量を他5機種の平均値と比較した場合、高さは約12mm、幅は約6mm短く、重量は約26gも軽量であり、かなり軽量コンパクトな機種であることが見て取れます。
また、RAMの容量も12GBと上位に属し、小型でありながら基本性能にも妥協のない構成であることがわかります。
総合性能で優れるAQUOS R5G
AQUOS R5Gは、基本性能において最も高い水準の機種であることが見て取れます。
RAM容量は12GBと上位に属し、内蔵ストレージ(ROM)の容量は唯一256GBを搭載など、日本にはあまり導入されることのない海外向けハイエンド製品に迫る性能を示しています。
また、ディスプレイの種類は液晶であるものの同社の独自技術「Pro IGZO」を採用し、10億色の発色を実現するなどトレンドの有機ELディスプレイに引けを取らない表示性能を持ち合わせていることも注目のポイントです。
液晶ディスプレイは、省電力性や太陽光の下での視認性の高さなど、有機ELに比べてスマートフォンと好相性な特性があることも強みと言えるでしょう。
湾曲エッジやワイド(縦長)形状など若干癖のあるディスプレイではなく、標準的な形状のディスプレイである点も多くの人にとって受け入れやすいポイントと言えるかもしれません。
ただし、その解像度は厳密なQuad HD+(QHD+)に準拠せず、微妙に縦方向(長辺)の解像度が少なめであることには注意が必要かもしれません。全画面表示のアプリでは横方向が見切れたり、上下に黒帯が表示される場合があることを、想定しおく必要があると思います。
圧倒的なディスプレイ解像度のXperia 1 II
Xperia 1 IIは処理やストレージの性能面ではごく標準的な構成にとどまっていますが、圧倒的に高解像度なディスプレイが最大の魅力であると考えられます。
縦方向(長辺)では4K(UHDTV)の領域に到達するディスプレイを持つ本機種は、写真や動画の撮影や編集といったクリエイティブな作業には最適な機種と言えるでしょう。
一方、スマートフォンではまだまだ数の少ない21:9というアスペクト比は、様々な面でネックとなることも予想されます。
アプリ側がどこまで表示を最適化してくれるかにもよりますが、ゲームや動画視聴などで意図しない表示のされ方に遭遇する場面は、かならずあるものと思っておいたほうが良いでしょう。
唯一のデュアルディスプレイマシン V60 ThinQ 5G
V60 ThinQ 5Gは昨今数を増やしているデュアルディスプレイ構成のスマートフォンです。5G対応の6機種の中では唯一の採用であるため、デュアルディスプレイを利用したい人は必然的に本機種を選択することになります。
ただし、ひとつひとつのディスプレイの解像度は、QHD+ではなくフルHD+と低めであることには注意が必要です。
デュアルディスプレイにメリットを感じない場合、大柄で厚みがあり重たいことや、SDXCカード上限が唯一512GBでストレージ容量を確保しにくいことなど、基本性能でネックとなる部分が多く、積極的に選択する必要性は低いように感じられます。
高スペックと大画面が魅力のGalaxy S20+ 5G
サムスン Galaxy S20+ 5Gは基本性能が総じて高めの機種であり、AQUOS R5Gと競合する存在のように感じられます。
AQUOS R5Gと比較した場合、内蔵ストレージ容量こそ劣りますがRAM容量は12GBと同様に上位に属します。また、ディスプレイサイズは6.7インチと大きく、解像度に完全なQHD+を採用する点は、より優れたポイントと言えるでしょう。
有機ELと湾曲エッジを採用するなど、AQUOS R5Gに対して先進的なディスプレイ構成も注目ポイントです。保守的で堅実な性質を好むならAQUOS R5G、より先進的な技術を好むならGalaxy S20+ 5Gというように判断するといいかもしれません。
大画面と薄さが魅力のarrows 5G
arrows 5Gの最大の魅力は6.7インチとシングルディスプレイ機では最大の画面サイズを誇りながら、Galaxy S20に次ぐ「約170g」という軽量性を実現していることだと思います。
性能面では突出した部分こそないものの、全体的にバランスのとれた数値を示していることも好印象を覚えます。
「大画面でも軽くあってほしい」というワガママな希望に答えつつ性能面でも妥協することのない機種がほしいのであれば、arrows 5Gが有力な選択肢となってくれると考えられます。
5G通信に最適なGalaxy S20+ 5Gとarrows 5G
続いて5G通信対応機種にとっても最も核心的とも言える、通信性能について比較を行っていきたいと思います。
多くの方がご存知のこととは思いますが、5G通信は都市部ではサービスが開始されましたが、地方への展開はまだはっきりとした予定が公表されていない状況です。そういった点も踏まえて、5Gのみに囚われず通信速度の評価を行ってみたいと思います。
メーカー | Samusung | SHARP | SONY | LG | Samusung | 富士通 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
端末名称 | Galaxy S20 5G | AQUOS R5G | Xperia 1 II | V60 ThinQ 5G | Galaxy S20+ 5G | arrows 5G | |
型番 | SC-51A | SH-51A | SO-51A | L-51A | SC-52A | F-51A | |
VoLTE | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
VoLTE(HD+) | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
ビデオコール | ○ | - | - | ○ | ○ | - | |
5G最大速度 | 受信 | 3.4GHz | 3.4Gbps | 3.4Gbps | 3.4Gbps | 4.1GHz | 4.1Gbps |
送信 | 182Mbps | 182Mbps | 182Mbps | 182Mbps | 480Mbp | 480Mbps | |
4G最大速度 | 受信 | 1.7Gbps | 1.7Gbps | 1.7Gbps | 1.7Gbps | 1.7Gbps | 1.7Gbps |
送信 | 75Mbps | 131.3Mbps | 131.3Mbps | 131.3Mbps | 75Mbps | 131.3Mbps | |
3G最大速度 | 受信 | 14.4Mbps | 14.4Mbps | 不明 | 不明 | 不明 | 不明 |
送信 | 5.76Mbps | 5.7Mbps | |||||
無線LAN(Wi-Fi) | IEEE802.11a | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
IEEE802.11b | |||||||
IEEE802.11g | |||||||
IEEE802.11n | |||||||
IEEE802.11ac | |||||||
IEEE802.11ax | |||||||
最大通信速度 | 1201Mbps | 1201Mbps | 1201Mbps | 1201Mbps | 1201Mbps | 1201Mbps |
4G環境でのデメリットが目立つGalaxy S20 5G
Galaxy S20 5Gの5G通信は平均的であるものの、4G通信の送信速度が他メーカーの機種の約半分という短所が存在します。このため5Gの普及していない地域にて、アップロード操作を大量に行う人にはあまりオススメができない機種と言えるでしょう。
具体的にはビデオ通話を多用する人、動画の投稿や配信をスマートフォンやテザリングで行う人、オンラインストレージ(GoogleドライブやDropBox)を多用する人などが該当すると思われます。
ビデオコール非対応のAQUOS R5GとXperia 1 II
AQUOS R5GとXperia 1 IIは、ビデオコールサービスに対応していない点のみ注意が必要です。ただし、恐らく多くの方はビデオコールサービスではなく、LINEなどサードパーティーのアプリでビデオ通話を行うため、あまり大きな問題ではないと考えていいでしょう。
通信速度については4G、5Gともに標準的な性能を確保しているため、特段気をつけることはないと考えられます。
過不足のないV60 ThinQ 5G
V60 ThinQ 5Gは、5Gも4Gもごく標準的な通信速度でありビデオコールにも対応するため、もっとも過不足のない通信性能を持つ機種だと考えられます。
なにはともあれ、とにかく安定した通信環境を手にしたい人には、オススメな機種かもしれません。
5Gは速いが4GがネックのGalaxy S20+ 5G
Galaxy S20+ 5Gは、ミリ波帯の5G通信に対応する機種であるため、他の多くの機種に比べて5G通信が高速であるという特徴があります。その速さは受信において約1.2倍、送信において約2.6倍に達します。
ただし、Galaxy S20 5Gと同様に4G通信での送信速度が遅いという短所もあります。
5G環境をフルに活用できる環境下にあればオススメできる機種ですが、そうとも限らない状況で通信性能を望む場合、下記のarrows 5Gのほうがオススメかもしれません。
なお、ビデオコールには対応します。
5Gも4Gも速いarrows 5G
arrows 5Gは、Galaxy S20+ 5Gと同様にミリ波帯の5G通信に対応し、他の機種より高速な通信が可能であるという特徴があります。
また、Galaxy S20+ 5Gと決定的に違う点は、4G通信の送信も標準的な速度で可能であるという点です。このため、「将来的に5G環境が整った時にその速さをフル活用したいけど、今はまだ4G環境しか整っていない」といった地方在住のユーザーにオススメな機種と言えるでしょう。
ただし、他2つの国内メーカー機種と同様にビデオコールに対応しない点には注意が必要です。必要な場合は4Gの送信速度に目をつぶって、Galaxy S20+ 5Gを選択するべきかもしれません。
省電力性が発揮されるAQUOS R5G
バッテリー性能や充電機能についての比較を行ってみたいと思いますが、各社未公表の情報が多くはっきりとした評価は行えていません。
ひとまず現段階で判明している情報に基づく比較表は以下のとおりです。
メーカー | Samusung | SHARP | SONY | LG | Samusung | 富士通 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
端末名称 | Galaxy S20 5G | AQUOS R5G | Xperia 1 II | V60 ThinQ 5G | Galaxy S20+ 5G | arrows 5G | |
型番 | SC-51A | SH-51A | SO-51A | L-51A | SC-52A | F-51A | |
バッテリー容量 | 4,000mAh | 3,730mAh | 4,000mAh | 5,000mAh | 4,500mAh | 4070mAh | |
連続待受時間 | LTE | 約 320時間 | 約380時間 | 不明 | 不明 | 不明 | 不明 |
連続通話時間 | VoLTE(HD+) | 約1380分 | 約1430分 | 不明 | 不明 | 不明 | 不明 |
VoLTE | 約1380分 | 約1500分 | |||||
ビデオコール | 約360分 | - | - | - | |||
電池持ち時間 | 5G | 約105時間 | 約100時間 | 不明 | 不明 | 不明 | 不明 |
LTE | 約115時間 | 約125時間 | |||||
充電機能 | ワイヤレス(Qi) | ○ | - | ○ | ○ | ○ | ○ |
Quick Charge | - | - | 不明 | 不明 | 不明 | 不明 | |
Power Delivery | ○(PD3.0) | ○(Revision3.0) | ○ | 不明 | 不明 | ○ |
詳細な情報はGalaxy S20 5GとAQUOS R5Gしか判明していないためこの2機種のみでの評価となりますが、全体的にAQUOS R5Gの省電力性が目立つ結果となっています。
バッテリー容量が少ないにもかかわらず、5G環境下での電池持ち時間以外はすべてGalaxy S20 5Gを上回っており、液晶ディスプレイの省電力性が如実に現れているのではないでしょうか。
ただし、AQUOS R5Gは唯一ワイヤレス充電機能に対応しないという欠点があります。この機能を使用したい場合は、他機種を選択せざるを得ないのが残念なポイントです。
万能カメラマシンのXperia 1 IIと特化型のその他機種
複眼カメラが搭載されるようになり、ますますデジタルカメラ専用機との差が埋まりつつあるスマートフォン界隈。エントリークラスのカメラユーザーの方々には、専用機を手放して高性能カメラを搭載したスマートフォンに一本化することを検討されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
比較をしてみると各社それぞれの特徴がはっきり表れているため、ぜひご自身の好みにあった機種を選択するきっかけにしていただければと思います。
メーカー | Samusung | SHARP | SONY | LG | Samusung | 富士通 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
端末名称 | Galaxy S20 5G | AQUOS R5G | Xperia 1 II | V60 ThinQ 5G | Galaxy S20+ 5G | arrows 5G | |
型番 | SC-51A | SH-51A | SO-51A | L-51A | SC-52A | F-51A | |
アウトカメラ (標準・広角) |
有効画素数 | 約1200万 | 約1,220万 | 約1,220万 | 約6,400万 | 約1200万 | 約4800万 |
焦点距離 | 不明 | 26mm | 24mm | 不明 | 不明 | 不明 | |
F値 | 1.8 | 1.7 | 1.7 | 1.8 | 1.8 | ||
手ブレ補正 | 不明 | 光学式 | 光学式+電子式 | 不明 | 不明 | ||
タイプ | 広角 | 標準 | 標準 | 不明 | 広角 | 広角 | |
アウトカメラ (望遠) |
有効画素数 | 約6400万 | 約1,220万 | 約1,220万 | - | 約6400万 | 約800万 |
焦点距離 | 不明 | 52mm | 70mm | - | 不明 | 不明 | |
F値 | 2.0 | 2.7 | 2.4 | - | 2.0 | ||
手ブレ補正 | 不明 | 光学式 | 光学式+電子式 | - | 不明 | ||
タイプ | 望遠 | 望遠 | 望遠 | - | 望遠 | 望遠 | |
アウトカメラ (広角・超広角) |
有効画素数 | 約1200万 | 約4,800万画 | 約1,220万 | 約1,300万 | 約1200万 | 約1630万 |
焦点距離 | 不明 | 19mm | 16mm | 不明 | 不明 | 不明 | |
F値 | 2.2 | 2.9 | 2.2 | 1.9 | 2.2 | ||
手ブレ補正 | 不明 | 電子式 | - | 不明 | 不明 | ||
タイプ | 超広角 | 超広角 | 超広角 | 広角 | 超広角 | 超広角 | |
TOF | - | ○ (HQVGA 128×128ドット) |
○ 3D iToF |
○ | ○ | レーザーオートフォーカス | |
インカメラ | 有効画素数 | 約1000万 | 約1640万 | 800万 | 約1,000万 | 約1000万 | 約3200万 |
F値 | 2.2 | 2.0 | 2.0 | 1.9 | 2.2 | 不明 | |
手ブレ補正 | 不明 | 電子式 | 不明 | 不明 | 不明 | ||
レンズメーカー | 不明 | 不明 | カール・ツァイス | 不明 | 不明 | 不明 |
カメラ性能では今ひとつ及ばないGalaxy S20 5G
Galaxy S20 5Gは唯一ToFを採用しておらず、カメラ性能を基準として判断した場合、他機種に一歩譲る印象を抱きます。
強力な「スーパー手振れ補正」や高性能な望遠カメラなどの魅力もありますが、上位機種のGalaxy S20+ 5Gが全く同じ性能を持ちながらToFをも採用しています。カメラ性能を重視しながらGalaxyが欲しい場合は、S20+を購入するのが正解と言えそうです。
AQUOS R5Gの超広角カメラは要注目
AQUOS R5Gは高画素の超広角カメラが目を引きます。他機種の約3倍以上の画素数を持つため、高精細で広い画角の撮影を期待することができます。
またこの超広角カメラは、手ブレ補正に対応する点にも面白いポイントだと思います。スチル(静止画)向けに作られた一眼カメラでは、広角や超広角では手ブレ補正が不要と言われることが多く、実際に標準レンズや望遠レンズに比べてレンズ内手ブレ補正内蔵の広角レンズの製品数はかなり少ない傾向にあります。
しかし、昨今需要が増加している動画撮影の場面では、撮影スタイル次第では常にカメラが動くため、広角レンズであっても手ブレ補正に対応していたほうが見やすい映像を撮影することができる場合があります。
このためAQUOS R5Gは、超広角カメラでの動画撮影において非常に優れた性能を発揮してくれる製品だと思われます。
全カメラで映像美が期待できるXperia 1 II
Xperia 1 IIのはすべてのカメラの画素数が平均的な値であり、数値上では際立った性能を持たないような印象を受けます。しかしアウトカメラはすべてドイツの老舗レンズメーカー「カール・ツァイス(ZEISS)」製のレンズを採用することに注目が必要です。
デジタルカメラの論評などでもよく見かける話ですが、映像の美しさは「画素数」よりもレンズ性能が極めて重要であると言われます。そして、このZEISS製レンズは同ソニーの一眼カメラαシリーズの高級レンズにも採用されており、その映像の美しさは折り紙付きであると言えます。
標準カメラと望遠カメラについては、「光学式」と「電子式」を組み合わせたハイブリッド式の手ブレ補正が採用されていることから、他機種より一層強力な手ブレ補正を実現してくれる可能性が高いことも期待値を高めてくれます(AQUOS R5Gは光学式と公表済み、Galaxyシリーズ2機種は電子式と噂されています)。
3D iToFの採用やセンサーサイズの大型化、同社カメラのAF技術の流用などにより、暗所での撮影や高速・高精度AFを要求される撮影にも得意であることが発表されており、万能なカメラマシンを手に入れたいと考えるならば、もっともオススメできる機種はXperia 1 IIと断言して良いでしょう。
ただし超広角カメラのみ手ブレ補正が搭載されておらず、AQUOS R5Gに劣ることを留意する必要はあります(Galaxyシリーズ2機種のスーパー手ブレ補正はどのカメラをサポートするか確認できませんでした)。
またインカメラについてはZEISSレンズの採用が謳われておらず画素数も低めであることから、後述のarrows 5Gのほうが優れていると考えられます。
望遠カメラ非搭載な点がネックのV60 ThinQ 5G
V60 ThinQ 5Gは唯一望遠カメラを採用すらしていないという大きな欠点があります。デュアルディスプレイと望遠カメラの両方を望む人は、どちらか断念する覚悟が必要となることでしょう。
ただし、標準タイプと思しきカメラは他機種より圧倒的に高画素であるため、高精細な撮影が期待できます。また、広角カメラのF値が最も低いため、明るくボケ味のある広い画角の撮影も可能であると推測されます。
arrows 5Gはセルフィーに強いインカメラ性能
arrows 5Gの注目すべきポイントは、3200万画素という圧倒的な画素数のインカメラを装備する点です。このためセルフィーを行う人にとっては、最も利便性が高いカメラであることは間違いなさそうです。
また広角カメラと超広角カメラの画素数は他機種よりも高い傾向にあり、広い画角で高精細な映像を撮影したい場合には強い味方となってくれることでしょう。
ただし、望遠カメラの画素数は低めの傾向にあるため、すべてのカメラで美しい映像を撮影したい人にはオススメしにくい機種と言えるかもしれません。
メディア再生に強いAQUOS R5GとXperia 1 II
音楽や映像作品のネット配信の普及などで、スマートフォンでのマルチメディア再生機能は目立たつとも非常に重要な機能になってきていると思います。より高音質、高画質での再生が可能な機種、もしくは多様な周辺機器との連携が取れる機種を選ぶ際には以下のような項目に注目してみてください。
なお、本項目についても未公開な情報が多いため、公開された範囲でのみ論ずるものとします。
メーカー | Samusung | SHARP | SONY | LG | Samusung | 富士通 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
端末名称 | Galaxy S20 5G | AQUOS R5G | Xperia 1 II | V60 ThinQ 5G | Galaxy S20+ 5G | arrows 5G | |
型番 | SC-51A | SH-51A | SO-51A | L-51A | SC-52A | F-51A | |
HDR | ○ | ○ | ○ | 不明 | ○ | 不明 | |
オーディオジャック | - | ○ | ○(3.5mm) | 不明 | - | 不明 | |
ハイレゾ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
A2DP | SBC | ○ | ○ | 不明 | 不明 | 不明 | 不明 |
AAC | |||||||
aptX | |||||||
aptX HD | - | ○ | |||||
aptX Adaptive | - | ||||||
LDAC | ○ | ||||||
テレビ | フルセグ | - | ○ | ○ | - | - | - |
ワンセグ | - | ○ | ○ | - | - | - |
イヤホンの利便性でいま一歩及ばないGalaxy S20 5G
Galaxy S20 5GはHDRサイトやハイレゾへの対応など、高画質高音質での再生機能は十分に備えているものと考えられます。
ただし、オーディオジャックが存在しないこと、aptX HDとaptX Adaptiveに対応しないことなどから、有線無線問わず高音質なイヤホンとの連携には今ひとつ足りていない印象があります
高音質なイヤホン環境を整えるには、USB Type-C接続経由で接続が可能なイヤホンを用意する必要があると考えたほうが良いでしょう。
すべてのメディア再生機能を備えるAQUOS R5G
AQUOS R5Gはおおよそ考えられるすべてのメディア再生機能を備えている万能機であると言えます。
HDRとハイレゾに対応し、オーディオジャックを備え、A2DPのすべてのコーデックに対応し、テレビ再生も可能であると非の打ち所がない性能を示しています。
視聴を希望するメディアや利用したいイヤホンにスマートフォンが対応するか不安な場合、ひとまず本機種を選んでおけば間違いないと考えて良いでしょう。
AAC以外のメディア再生機能は備えると予想されるXperia 1 II
執筆時点でXperia 1 IIについては、ソニーのサイト上のスペックシートのみの確認であり不明な箇所も残っていますが、A2DPのAACへの対応以外はAQUOS R5Gと同様に万能な機種であると考えて良いと思います。
SBCはBluetooth経由でのオーディオ再生の標準コーデックであるため、明記されてなくても通常対応していると予想される機能です。また、aptXについては上位のaptX HDに対応しているため、たとえネイティブ対応していなかったとしても、aptX HDの下位互換性によってaptX対応イヤホンでの再生は可能と考えられます。
唯一予想すらできない点はA2DBでのAACの対応の可否です。通常であれば対応すると予想されますが、AppleのAACとソニーのLDACは競合関係にあるため、判断が難しいポイントでもあります。AACのみ対応するイヤホンを使用されている方は、ドコモサイト上での詳細なスペックシートの公開を待つほうが良いかもしれません。
おサイフケータイには全機種対応
最期に細かい付加機能について比較をしてみたいと思います。
メーカー | Samusung | SHARP | SONY | LG | Samusung | 富士通 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
端末名称 | Galaxy S20 5G | AQUOS R5G | Xperia 1 II | V60 ThinQ 5G | Galaxy S20+ 5G | arrows 5G | |
型番 | SC-51A | SH-51A | SO-51A | L-51A | SC-52A | F-51A | |
生体認証 | 指紋 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
顔 | ○ | ○ | - | - | ○ | - | |
NFC(FeliCa) | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
防水 | IPX5/IPX8 | IPX5/IPX8 | IPX5/IPX8 | IPX5/IPX8 | IPX5/IPX8 | IPX5/IPX8 | |
防塵 | IP6X | IP6X | IP6X | IP6X | IP6X | IP6X | |
製造国 | 韓国 | 日本(台湾) | 日本 | 韓国 | 韓国 | 日本 |
もっとも多くの人が気になるポイントであろうおサイフケータイ(Felica)には全機種対応しているため、特別問題のある機種はないと思います。
特に年長者の方に多いように思われますが、「日本製が安心」と考える方はAQUOS R5G、Xperia 1 II、arrows 5Gのいずれかから選択すればよいかと思います(シャープは台湾資本の企業となりましたが、本社は大阪にあるため日本国籍の企業と考えて良いでしょう)。
また顔認証については、Galaxyの2機種とAQUOS R5Gのみの対応となります。顔認証の必要性を感じる場合は、この2機種から選択すれば間違いないでしょう。
まとめ
随分と長くなってしまいましたが、以上でドコモから発売予定の5G対応スマートフォン6機種の比較と検討は終わりとなります。
ここまでの各項目での比較を振り返って改めてざっくりまとめると、
- 5G通信含め最高のスペックが欲しい → Galaxy S20+ 5G
- 高スペックが欲しいけど国内メーカー製が良い → AQUOS R5G
- カメラ性能を重視したい → Xperia 1 II
- デュアルディスプレイを使いたい → V60 ThinQ 5G
- セルフィーにこだわりたい → arrows 5G
- 軽量コンパクトな機種が良い → Galaxy S20 5G
といった感じで選択すれば良いように思われます。
ちなみに、あくまで私個人の感想ですが、
Xperia 1 II > AQUOS R5G ≧ Galaxy S20+ 5G >>>>> Galaxy S20 5G
といった印象です。
やはりガジェットオタクとしては、マシマシなカメラ性能がどんなものかは気になるところ。AQUOS R5GとGalaxy S20+ 5Gについては非常に悩ましいところですが、望遠カメラより超広角カメラのほうが重視したいため、僅差でAQUOS R5Gの勝ちといった印象です。あと、やはりコンパクトであることは正義なので、Galaxy S20 5Gも評価したいところ。
候補に挙げなかった製品について、arrows 5Gは悪くないのですが、5Gがいつ提供開始されるかわからない地方ではAQUOS R5Gの影に隠れてしまう印象です。V60 ThinQ 5Gは、ちょっと特殊な方向に注力しすぎかなぁと…。