大抵のソフトウェアにもいえること言えることですが、同じことが出来るものを比較するなら「より軽快に動作する」ことは優れている指標の1つですよね。
今回紹介するAndroidエミュレーター「MuMu App Player」はかなり軽快な動作が特徴!いつのまにか日本語化されていたためご紹介しようと思います。
ちなみにこのエミュレーターの良いところ、動作が軽いだけではありません!
目次
重くなってしまうNoxPlayer
当サイトでは以前「NoxPlayer(通称、Nox)」というAndroidエミュレーターを紹介しました。再現性が高くしっかりと日本語化され、それでいて多機能と優秀なエミュレーターです。
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PCでAndroidゲームをプレイ!NoxPlayer 6の使用方法
* 2020年3月、MuMu App Playerについて追記 スマートフォンの小さい画面を長時間覗き込むのは非常に疲れます。同じ操作をパソコンで出来たらどんなに楽かと思う方も多いでしょう。そんな願い ...
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しかし、そんなNoxPlayerにも1つ不満がありました。それは利用期間に応じるようにどんどん動作が重たくなってしまうこと。
個人的にはスマホゲームは移動中などスキマ時間にサクッとプレイできるのが最大の魅力だと思っています。そのため、PC上のNoxPlayerには本当に熱中できるゲームを少数インストールしてあるのみ。つまりゲームやアプリを追加するなど、環境が変化するような作業をほとんど行っていないのです。
それにも関わらずNoxPlayerは使用を続けていると、動作が重たくなってしまいます。その様子はまさにもっさりといった雰囲気で、使えなくはないもののなんだか緩慢な動きです。ちなみに私は2つのPCで一定期間NoxPlayerを継続利用したことがありますが、どちらの環境でもこの現象は発生しました。
そんなわけで、実は私はもうNoxPlayerを常用はしていません。アップデートがあったときに、なにか大きな変更があったか確認する程度です。
日本語化されたMuMu模擬器
執筆時点(2020年3月)で私が常用しているAndroidエミュレーターは「MuMu App Player」。2019年3月頃「アズールレーン」や「ドールズフロントライン(少女前線)」が60fpsでヌルヌルサクサク動作すると、一部界隈で話題になっているのを目にして使い始めたフリーソフトです。
このエミュレーターは噂に違わぬ軽快さでしたが、一方で難点もありました。当時の名称は「MuMu模擬器」で、画面UIはすべて簡体字の中国語。日本での認知度も低くTIPS的な情報はほとんど出回っていません。細かい部分はGoogle翻訳を駆使しながらの試行錯誤で、とても人にオススメできる代物ではなかったのです。
ところが最近ふと気になることがあって調べ直すと、いつの間にやら「MuMu App Player」の名でグローバル版がリリースされています。中国語よりは英語のほうが扱いやすいと思いインストールし直したところ、なんと日本語にまで対応済み。これならブログで紹介できると思い、今回こうして記事にしているわけです。
MuMu App Playerへの事前の理解
開発元について
MuMu App Playerの開発元は中国ITサービス企業のNetEaseです。本国では四大ポータルサイトに数えられる「網易」を運営する大企業であり、日本でも有名な「荒野行動」や昨今話題の「第五人格」などの開発・運営でも知られています。
システム要件
2020年3月現在、公式サイトのグローバル版にはシステム要件の記載がありません。参考までに中国語版の情報を掲載しますが、グローバル版とは異なる場合があることをご了承下さい。また、ガバガバ翻訳のため正確さは保証できません。
最小要件 | 推奨要件 | |
---|---|---|
OS | Windows XP以上 Direct X11.0 または OpenGL 3.1 |
Windows 7以上 Direct X11.0 または OpenGL 4.x |
CPU | IntelまたはAMD製 デュアルコアCPU |
Vt-xまたはAMD-V対応マルチコアCPU VTの有効化を推奨 |
GPU | OpenGL2.0以上 | 高いほど良い |
メモリー | 4GB | 4GB |
ストレージ | 2GB以上の空き領域 システムディスクに1.5GBの空き領域 |
なお、中国語版で存在するMacバージョンは、グローバル版ではダウンロードリンクが掲載されていません。このため、本記事ではWindows版を前提として記事を作成していますので、ご了承ください。
その他の注意事項
MuMu App Player中国製のフリーソフトウェアです。海外製である以上言語の壁や価値観・道徳観・商習慣などの相違で満足のいくのサポートなどは受けられない可能性があること、フリーソフトである以上そもそも自己の責任の下で利用するべきであること、等々ご理解の上で使用していただくようお願いします。
特に、秘匿性の高い情報(例:Googleアカウント、クレジットカード、電子マネー、パスワード管理アプリ、アドレス帳など)のMuMu App Player上での取り扱いについては、慎重に判断されることを推奨します。
あくまで一例でしかありませんが、私の場合は機密情報や他人の個人情報を一切持たない、エミュレータ用のGoogleアカウントで運用しています。
MuMu App Playerのインストール
MuMu App Playerはインターネット上で無料配布されています。公式サイトからダウンロードしましょう。
上のリンクから公式サイトにアクセスします。
[↓download]リンクをクリックし、インストールファイルをダウンロードします。
ダウンロードが完了したら、インストールファイルを実行します。
[カスタムインストール>]をクリックします。
任意に設定を変更し、[インストール開始]をクリックします。私の場合、以下のような変更を行っています。
- [インストール先]をデータドライブに変更
- [デスクトップにショートカットを作成]を無効化
なお、下2つの[同意する…]と[NemuBox…]は必須項目です。利用許諾に同意できない、またはNemuBoxをインストールしたくない場合、MuMu App Playerはインストールできません。
インストール作業が完了するのを待ちます。
このような画面が表示されれば、インストール完了です。[起動]をクリックします。
MuMu App Playerの利用においては、内部Android OSの起動を待つ必要があります。ホーム画面が表示されるまで待機します。
MuMu App Playerの初期設定
MuMu App Playerの利用にあたっては、内部Android OSへのGoogleアカウントの登録など、必要な初期設定があります。1つずつ設定を行っていきましょう。
Windows ファイアウォールの許可
通常有効に設定されているWindowsファイアウォールにおいて、MuMu App Playerの通信を許可する必要があります。
MuMu App Playerの初回起動時に画像のようなダイアログが表示されます。MuMu App Playerの通信を許可するネットワークを選択して(①)、[アクセスを許可する(A)]をクリックしましょう(②)。
ネットワークについて
どのネットワークを許可するかは個人の環境によって違うため、一概には断定できません。また、セキュリティを優先するか使い勝手を利用するかに応じても変化します。このため、原則的にはご自身の判断でご設定いただくようお願いします。
以下、あくまで一般論としての考え方を記載します。
多少不便であってもセキュリティを優先したい場合、図のように[プライベート ネットワーク]を選択するべきです(この場合、一般的には公衆無線LANなどでMuMu App Playerの通信が行えなくなります)。
「MuMu App Playerを確実に動かす」ことを目的とした場合、両方のネットワークを許可したほうが良いでしょう。
Googleアカウントの設定
PlayストアなどGoogleサービスの利用のため、Googleアカウントを設定する必要があります。
起動後に表示されているホーム画面で[System Apps]をクリックします。
[設定]をクリックします
メニューをスクロールし[アカウント]をクリックします。マウスホイールでスクロール可能です。また、左クリックボタンをドラッグ&ドロップすることで、スワイプ操作も再現可能です。
[アカウント追加]をクリックします。
[メールアドレスまたは電話番号]にGoogleアカウントのメールアドレスか電話番号を入力し(①)、[次へ]をクリックします(②)。
なお、この記事ではお手持ちのGoogleアカウントを利用する前提での設定方法を記載しています。この時点で専用アカウントを作成したい場合などは、[アカウントを作成]をクリックしウィザードに従ってください。
[パスワードを入力]にGoogleアカウントのパスワードを入力し、[次へ]をクリックします。
Googleアカウントに電話番号を追加していない場合、このような画面が表示されます。
私はエミュレータ用のアカウントに不必要な個人情報を登録したくないため、[スキップ]をクリックしました。登録しておきたい場合、[はい、追加します]をクリックし、ウィザードに従ってください。
Google 利用規約を確認し同意できる場合、[同意する]をクリックします。同意できない場合、ここで作業を中断して下さい。
Googleドライブへのバックアップを有効にする場合、そのまま[同意する]をクリックします(バックアップを無効にする場合、トグルをオフに変更してウィザードに従ってください)。
Googleへのログイン画面が終了し、[設定]の[アカウントの追加]に戻ります。Googleアカウントが追加されていることを確認して下さい。
引き続き他の設定を行うため、左上の[←]をクリックし設定メニューに戻ります。
タイムゾーンの設定
デフォルトのタイムゾーンは国外に設定されています。ゲームによってはサーバーとの同期に失敗する原因にもなるため、日本標準時に変更しましょう。
メニューをスクロールし、[日付と時刻]をクリックします。
[タイムゾーンの選択]をクリックします。
タイムゾーンの一覧をスクロールし、[Japan Standard Time](日本標準時)をクリックします。
時差順に表示されているため、「GMT+09:00」に近づくようスクロールすると見つけやすいです。かなり下の方にあります。
[タイムゾーンの選択]の下に[GMT+09:00 Japan Standard Time]と表示されていることを確認します。
ちなみに私はホームに戻る前に[24時間表示]も有効化しています。これは必須ではありませんので、おこのみで結構です。
画面左下のホームボタンをクリックして、ホーム画面に戻ります。続いて動作の確認を行いましょう。
最新ゲームで動作確認
初期設定が完了したところで、Googleアカウントが正常に登録されたこと、アプリのインストールや起動が可能なことを確認してみましょう。
ホーム画面で[System Apps]→[Playストア]の順にクリックします。
検索バーで動作を確認したいアプリ名を検索します。
目的のアプリのページを開き、[インストール]をクリックします。この記事では最新ゲームの「アークナイツ」が動作するかをご紹介したいと思います。
正常にインストールが完了しました。今回はホーム画面の状態を確認するため、[開く]ではなく画面左下のホームボタンをクリックします。
ホーム画面にアークナイツのアイコンが追加されました。クリックして起動します。
正常にタイトル画面まで起動することが出来ました。
3Dグラフィックスの戦闘シーンも問題なく動作することができました。
以上で最低限必要な設定と確認を終えることができました。続いて推奨する設定を紹介しますので、よろしければご確認ください。
その他の設定のご紹介
必須ではないものの推奨される設定、場合によっては有効な設定などをご紹介します。興味がありそうなものは、ぜひ参考にしてみてください。
ADBの無効化
MuMu App Playerを起動すると、バックグラウンドでADBという機能が常駐します。ADBは攻撃者によって悪用された場合に、バックドアとなってしまいます。必要がない限りは、セキュリティ上以下の手順で無効化することを推奨します。
エクスプローラーでMuMu App Playerのインストールフォルダを開きます。デフォルトでは下記のパスとなります。
インストールパス
C:\Program Files (x86)\MuMu
続いて[emulator]フォルダを開きます。
[nemu]フォルダを開きます。
[vmonitor]フォルダを開きます。
[bin]フォルダを開きます。
拡張子を表示済みの場合、次の手順に進んでください。表示していない人または表示しているかわからない人は、[表示]タブをクリックし(①)、[ファイル名拡張子]にチェックを入れてください(②)。
[adb_server.exe]のファイル名の末尾に任意の文字列を追加してください。私はドット+日付を推奨しています(①)。
前の手順で[ファイル名拡張子]にチェックを入れた人(今まで拡張子を表示していなかった人)は、[ファイル名拡張子]のチェックを再度外しておいてください(②)。
ただし、拡張子というものが理解できている場合に限っては、個人的には表示したままが推奨です。
仮想キーの割り当て
アプリによってはマウス操作よりキーボードのほうが操作しやすいものも存在します。そういった場合、画面上の任意の場所に好きなキーを割り当てることができます。
この記事ではアークナイツの戦闘画面におけるボタンに、キーを割り当ててみたいと思います。
画面右下に並ぶアイコンの一番左をクリックします(マウスオーバーで「Alt+1」と表示されます)。
画面上に表示されたアイコンの一番左をクリックします。
画面上のボタンを割り当てたい部分をクリックします。今回は「一時停止/再開」のボタン部分をクリックします。
キーの割り当てられていない状態の仮想ボタンが配置されます。
キーボードで割り当てたいキーを押します。画像ではわかりにくいですが、今回はスペースキーを割り当てました。
同様の手順で、設定ボタンにはシフトキー、スピード調整ボタンにはコントロールキーを割り当ててみました。割り当てが完了したら、画面右上の[保存]ボタンをクリックします。
[保存]をクリックします。
画面上に割り当てたキーが表示されていることを確認できたら、設定が完了です。実際にキーを押してみて、動作を確認しましょう。
ちなみに、MuMu App Playerでは、初期設定である程度メジャーなゲームに仮想キーの割り当てが行われています。一つ一つ設定を行う手間が省ける場面もあり、非常に便利な機能です!
キーの重複の解除
Radeon softwareがインストールされている場合など、MuMu App Playerとのキーの重複が発生する場合があります。キー設定を変更して解消しましょう。
画面右上の[≡]をクリックし、表示されたメニューの[設定]をクリックします。
画面左のメニューから[基本設定]を選び(①)、[ボスキーを使用]のチェックを外します。最期に[保存して終了]をクリックします(③)。
ちなみに、ボスキーとは押した瞬間的にウィンドウを隠してくれるキー設定です。ボス(上司)用のキーということですね。
互換性を向上させる
MuMu App PlayerはDirectXを利用し高速に動作するよう初期設定がされています。その一方で、3Dゲームがうまく動かない場合などに備えて、OpenGLでの動作もサポートされています。
画面右上の[≡]をクリックし、表示されたメニューの[設定]をクリックします。
画面左のメニューから[詳細設定]を選び(①)、[互換性+(OpenGL)]を選択します。最期に[保存して終了]をクリックします(③)。
おわりに
以上でMuMu App Playerのインストールと推奨する設定は完了です。実際のご利用にあたっては、ご自身のお好みのアプリやゲームのインストール、それに合わせた仮想キー設定などが必要になるかと思います。ぜひご自身の使いやすいよう、カスタマイズを行ってみてください。
私の環境では既に1年程度MuMu App Playerを利用していますが、現在も変わらず軽快な動作を保っています。現状その他のエミュレータ環境に不満がある人にとって、本記事がお力になれば幸いに思います。