ブログ掲載写真と動画の撮影のためパナソニック製デジタル一眼ミラーレスカメラLUMIX DMC-G8を購入しました。
2016年発売なので、そろそろモデル末期に突入していると予想される商品です。なぜ今あえてG8を選んだのか。今回はその理由をご説明してみたいと思います。
2020年現在、動画撮影のためのカメラ選びに迷っている方のご参考にして頂ければ幸いです。
一眼カメラを購入した動機
私は今まで一眼カメラというものは「やたらと高価な趣味」くらいにしか思っていませんでした。確かに背景ボケした写真はカッコいいと思います。撮れるものなら撮ってみたい。ガジェット好きとしてはカメラ自体にも興味があります。とは言え高いものは高い!おいそれと手が出るものではないのです。
でもインターネットコンテンツ制作を行っていると、写真を撮ることもただの趣味ではないんですよね。おまけに最近の一眼カメラは動画の撮影にも長けている模様。YouTube向けの動画撮影もやってみたいと思っていました。
そうやって言い訳ができるとムクムクと湧いて出てくるのが物欲という魔物。あっさり負けて「LUMIX DMC-G8(以下、G8)」を購入してしまいました。
なぜG8を選んだのか
言うまでもありませんが世の中にはたくさんのカメラが販売されています。その中でなぜ私はG8を選んだのか、ポイント別に書き記してみようと思います。
パナソニックのカメラを選んだ理由
動画撮影にも強い一眼カメラを探したわけですが、答えはすぐに見つかりました。動画撮影の能力はパナソニックが頭一つ抜きん出ているようです。
ほとんどの一眼カメラには、動画の連続撮影時間に30分未満までという制約がかけられています(徐々に撤廃されると予想もされています)。しかしパナソニックの多くの機種には連続撮影時間の制限が設けられておらず、より自由に動画を撮影できます。
特にLUMIX DC-GH5(以下、GH5)やDC-GH5S(以下GH5S)という機種は、多くの有名YouTuberが愛用する定番機種。またハイエンド製品のDC-S1H(以下、S1H)は、ミラーレスカメラでは唯一Netflixの動画撮影機材に認定されています。
一方他社製品はどうなのかというと、確認できた範囲では2019年1月発売のソニー・α6400は連続撮影時間の制限がないようです。
最終的には定番とされるメーカーのほうがノウハウなど情報を見つけやすいと判断し、パナソニック製品から選ぶこととしました。
S1Hを選ばなかった理由
上に挙げた製品の中で唯一のフルサイズセンサー搭載機種となります。またあらゆる動画撮影のための機能をてんこ盛りにした凄まじいカメラです。パナソニックの中ではもちろん、動画撮影目的であればデジタル一眼カメラ最強といって差し支えないでしょう。
でも本体のみで55万円前後は高すぎます。レンズやアクセサリー類をあわせたら80万円近くなるのではないでしょうか(2020年2月現在)。
どう考えてもド素人のアマチュアが買う金額ではないので、考えるまでもなく候補から外れてしまいました。
GH5を選ばなかった理由
S1Hを「高価だから」と除外して舌の根も乾かぬうちですが、「高額なものほど妥協せずに良いものを買う」ことを意識しています。なぜなら中途半端に高い金額を支払って、結局後悔するのは嫌だから。このため、こと動画撮影において非常に高い評価を得るGH5は、レンズ込み20万円前後という価格であっても最有力候補でした。
それにも関わらずGH5を見送った理由は「モデル末期と予想される」からです。
今回カメラの購入にあたって専門店にて相談に乗って頂きました。その中で述べられていたのが以下のような分析です。
店員さんの予想
- 昨今のカメラのライフサイクルは3年程度
- ファームウェア更新は大体2.xで止まる
- ROM容量的にもこれ以上のファームウェア更新は見込めない
- 東京五輪に向けて新商品の投入も予想される
- 以上のことからGH5はモデル末期で後継機種投入の可能性あり
調べてみると確かにGH4の発売日は2014年4月24日、GH5の発売日は2017年3月23日と3年でモデルチェンジしています。また、GH4のファームウェアは2017年9月のバージョン2.7を最後に更新が止まっているのも事実。一方のGH5の最新リリースはバージョン2.6に到達しています。五輪商戦というのもありそうな話です。
そして店員さんに言わせれば「これらのことを踏まえれば、今GH5を買うくらいなら絶対GH5Sを買うべき」とのこと。より高額な商品に誘導されている気もしますが、すっかりGH5の購買意欲は失せてしまいました。
GH5Sを選ばなかった理由
店員さんイチオシのGH5Sですが、結局これも購入には至りませんでした。
GH5SはGH5と比べて以下のような長所を持つカメラです。
GH5Sの強み
- 高感度撮影の性能が高い(より暗所での撮影が可能)
- Log撮影機能「V-Log L」を標準装備する(GH5はオプション)
- DCI-4K(いわゆるシネマ4K)60pでの動画撮影に対応する
一方の短所は以下のようなポイントです。
GH5Sの弱み
- 画素数は1028万画素とGH5の2030万画素より低下
- ボディ内手ブレ補正を持たない
当初より私の中ではボディ内手ブレ補正非搭載というのが最大のネックでした。現段階では室内での撮影を中心に想定しています。広角レンズに頼る場面が多くなるかもしれません。しかしパナソニックの広角レンズはすべてレンズ内手ブレ補正が非搭載。つまりボディ内もレンズ内も手ブレ補正が無い状態で撮影する場面が多くなる可能性が高いのです。
更に言えば、上記の通りGH5の後継機種の発売も予想されています。我慢をしてレンズ込み30万弱のGH5Sを購入して、すぐにボディ内手ブレ補正が搭載されたGH5の後継機種が発売されたら悲しすぎる。こうしてGH5Sも見送りとなりました。
残りのカメラは候補となりえるのか
ここまでの経緯で「GH5の後継機種を買おう」と決意が固まりました。しかし予想は予想、実際にはいつ発売かもわかりません。当面の「つなぎ」が必要です。
残る一眼カメラのLUMIX でDC-GF10/90とDC-GF9は手ブレ補正がありません。DC-G9(G9 Pro)は動画の連続撮影時間に30分の制限が設けられています。これらの機種はまず候補から除外していいでしょう。
次にDC-GX7MK3はチルト液晶のため除外しました。外部マイク入力やリモコン入力に非対応であること、それにも関わらずG8より市場価格が高価な点もマイナスポイントです。
残るはG8とDC-G99(以下、G99)のみとなります。公式サイトの比較表をもとに、GH5を基準に両者のスペックシートを比較してみましょう。
DC-GH5 | DC-G99 | DMC-G8 | |
---|---|---|---|
カメラ有効画素数 | 2033万画素 | 2030万画素 | 1600万画素 |
総画素数 | 2177万画素 | 1684万画素 | |
撮像素子 | 4/3型 Live MOS センサー |
||
ボディ内手ブレ補正 | (5軸、Dual I.S.2) *1 | ||
SDカード UHS-I(U3)対応 |
○ (UHS-II対応 / ダブルスロット) |
○ (UHS-II対応) |
|
4K動画撮影 | ○ (4K/60p) |
○ (4K/30p) |
|
動画フォーマット | MP4 AVCHD AVCHD Progressive MOV |
MP4 AVCHD AVCHD Progressive |
|
VFR (バリアブルフレームレート) |
○ | - | |
4Kライブクロップ | ○ | ||
ISO感度 ※拡張ISO設定時 |
200-25600 ※L.100-25600 |
||
シャッタースピード メカシャッター(静止画) |
60-1/8000秒 | 60-1/4000秒 | |
シャッタースピード 電子シャッター(静止画) |
1-1/16000秒 | ||
シャッタースピード B(バルブ)/T(タイム) |
○(B) (最大約30分) |
○(B) (最大約120秒) |
|
連写撮影 連写撮影速度 (高速(H)、AFS時、メカシャッター) |
約12コマ/秒 | 約9コマ/秒 | |
モニター | 3.2型 約162万ドットモニター タッチパネル フリーアングル |
3.0型 約124万ドットモニター タッチパネル フリーアングル |
3.0型 約104万ドットモニター タッチパネル フリーアングル |
ファインダー 方式/ドット数 |
約368万ドット 有機EL(OLED)ディスプレイ |
約236万ドット 有機EL(OLED)ディスプレイ |
|
ファインダー 倍率 |
約1.52倍 (35mm判換算:約0.76倍) |
約1.48倍 (35mm判換算:約0.74倍) |
|
6Kフォトモード | ○ (6K連写 / 6K連写(S/S) / 6Kプリ連写) |
- | |
4Kフォトモード | ○ (4K連写 / 4K連写(S/S) / 4Kプリ連写) |
||
フォーカスセレクトモード | ○ | ||
フォーカス合成 | ○ | ||
軌跡合成 | - | ○ | - |
フォトスタイル シネライクD/シネライクV |
○ | ||
フォーカスブラケット | ○ (補正幅と撮影枚数を設定可能) |
○ | |
絞りブラケット | ○ | ||
オートブラケット/ WBブラケット |
○ | ||
内蔵フラッシュ | - | ○ GN9.0 相当(ISO200・m) |
○ GN6.4 相当(ISO100・m) |
USB | USB 3.1 GEN1 (SUPER SPEED) |
USB 2.0 (High SPEED) |
|
USB充電 | - | ○ | - |
HDMI端子 | HDMI Aタイプ |
microHDMI Dタイプ |
|
REMOTE | φ2.5mm | ||
外部マイク | φ3.5mm | ||
ヘッドホン出力 | φ3.5mm | - | |
Bluetooth® | ○ | - | |
Wi-Fi® | ○ (5GHz) |
○ (2.4GHz) |
|
外形寸法 (WxHxD、突起部を除く) |
約138.5 x 約98.1 x 約87.4 mm | 約130.4 x 約93.5 x 約77.4 mm | 約128.4 x 約89.0 x 約74.3 mm |
重量 (本体、バッテリー、メモリーカード含む) |
約725g | 約536g | 約505g |
動作環境 (使用可能温度 / 湿度) |
-10~40℃ / 10~80% | 0~40℃ / 10~80% | |
参考価格 *2 | ¥172,999 | ¥111,238 | ¥78,300 |
発売日 | 2017/3/23 | 2019/5/23 | 2016/10/21 |
*1 公式サイトの比較ページにおいてG8は「Dual I.S.」対応と表記されていますが、その他のページ及びマニュアルでは「Dual I.S.2」対応とされています
*2 2020年2月時点での価格.com調べによる価格です
まず、GH5を基準としたスペックダウンに妥協できるのか、という問題があります。結論から言えばG99とG8のスペックダウンは許容範囲と考えていいでしょう。もっとも「YouTubeの素材撮影用という前提であれば」という条件がつきますが。
GH5に比べてG99とG8が明確に劣る点は、以下のようなポイントが考えられます。
G99・G5の短所
- 4K 60pの撮影に非対応
- USBのバージョンが2.0
- SDカードがシングルスロット
YouTube投稿動画の素材として考えた場合、4K 60pでの撮影は重要でしょうか。現時点で4K動画の再生環境が整った視聴者は少数と予想されます。また、私は4Kモニターを利用していますが、YouTubeの視聴時に4K再生を指定することはほとんどありません。5年後くらいを見据えた場合は4K撮影にフル対応して欲しいところですが、今回はあくまで短期間でのつなぎとしての購入。現時点では4K 60pでの撮影を重要視する必要はないと判断していいでしょう。
一方USBのバージョンが2.0であることは気がかりです。動画データを転送する場合、別途USB 3.0対応のカードリーダーでSDカードから直接読み出さなくては非効率でしょう。しかし、この場合SDカードを抜き差しする頻度が増えてしまいます。つまりSDカードを破損するリスクが高まってしまうのです。
この際カードスロットがシングル構成であることもネックとなります。デュアルスロットに2枚のSDカードを挿入していれば、メインが破損してもバックアップが残るでしょう。しかしシングルスロットのカメラからSDカードを抜き取る際に破損したら、撮影データが失われることを意味してしまいます。
ただし、私の主目的はYouTube投稿用の素材撮影、つまり自分のための撮影です。データをロストしても他人に迷惑を掛けるわけではありません。撮影内容もガジェットレビューやPCの整備カスタマイズなど、やり直しが可能なものを予定しています。
総合的に判断すればUSB3.0カードリーダーを使用したSDカードからのデータ転送という運用は、好ましくはないものの極端に恐れることもないと言えそうです。
以上の考えから2020年現時点で、G99およびG8はGH5後継機種までのつなぎとして全く問題ないと考えられます。
G99ではなくG8を選んだ理由
ようやくゴールが見えてきました。残るはG99かG8かの二択。
G99はG8に対して3万~4万円ほど高価な市場価格が見込まれるという欠点があります。一方当然ですが性能や素性はG99のほうが優れていることが見てとれます。特に注目すべきは以下のようなポイントでしょう。
ココがポイント
- 画素数が高い
- V-Log Lを標準装備
- USB充電・給電に対応
- 2019年発売の新製品
最終的にはこれらのポイントに3万円から4万円の差額を払う価値があるかが決め手となるでしょう。そしてGH5後継機の購入を前提とした場合、それだけの価値はないというのが私の結論です。
画素数の高さは安直に言ってしまえば、画質の綺麗さに影響すると思われます。Log撮影はカラーグレーディングを支援する機能ですが、私の能力では白飛び・黒潰れを防ぐ程度のものでしょう。USB充電・給電や新製品であることのメリットは言わずもがな。
しかし「YouTube動画の素材撮影」という目的に立ち返れば、これらはすべて「あるに越したことはないが必要でもない」機能です。G8で撮影されたYouTubeの動画が見るに耐えない画質かと言われれば、そんなことはありません。白飛び・黒潰れの度合いも同様です。USB給電は便利ですが、サードパーティーのDCカプラーでもっと安価に給電しながらの撮影を実現できるでしょう。1~2年の利用を見込んでいる以上、G8のライフサイクルの短さも大きな問題ではありません。
また、GH5の後継機種にはこれらすべての機能が盛り込まれる可能性は高いでしょう。厳密にはV-Log LはGH5Sとの差別化のためオプションになるかもしれませんが、その価格は1万円程度です。つまりGH5後継機種の購入を前提とした場合、今慌ててこれらの優位性に飛びつく必要はまったく無いわけです。
かくしてG99も候補から脱落し、ようやく私は購入するカメラをG8に決定することができたのでした。
まとめ
「同じように悩む人が納得の行くように」と決定までの考察を一つずつ順番を追って書いたわけですが、馬鹿みたいに長くなってしまいました。すみません。
振り返って簡単にまとめると、今YouTube撮影用のカメラが欲しい場合、以下のような選び方で良いのではないかと思います。
- 金に糸目をつけずに最高のものが欲しい。 ⇨ S1H
- そこそこ高価でも4K 60p撮影が出来て欲しい。古めであることは我慢 ⇨ GH5
- そこそこ高価でも4K 60p撮影が出来て長く使えるものが欲しい。手ブレ補正は我慢 ⇨ GH5S
- 現実的な価格で長く使えるそこそこのものが欲しい。4K 60pは我慢 ⇨ G99
- 全部我慢するのが辛い ⇨ G8を買ってGH5後継を待機
ぜひカメラを選ぶ際の参考にして頂ければ幸いです。
また実際に使用してみての感想も記事にしています!
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