フリーソフトを使ってみたらシステムの動作がおかしくなった。そんな経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。事前にきちんと動くか検証できれば不安はずいぶん解消されるはず。そんなわけで今回は仮想マシンソフトウェアを使ったテスト環境の作成方法をご紹介します。
テスト環境の必要性
アレコレ色んなソフトを試してみたい皆さん、過去にこんな経験はありませんか?便利と信じてソフトをインストールしたら、システム不安定になったり起動しなくなったり。
テスト環境を用意できれば、普段使用するPCをこんな危険に晒す必要はなくなります。しかし、それだけのためにもう1台PCを用意するのも悩ましい。PCは安くありませんし、置き場所も必要になります。
そんな場合にオススメしたいのが仮想化ソフトウェア。簡単に言ってしまえばPCの中にデータ上の新しいPCを作り出してしまえるソフトです。コンピュータという存在を仮想化するソフトというわけです。
仮想のPC(仮想マシン)にソフトウェアをインストールしても、普段使用している物理的なPC(物理マシン)には影響がありません。なぜなら仮想マシンと物理マシンは全く別のコンピュータとして存在するからです。何の心配もなくソフトの検証ができるわけですね。
個人利用が無料なVMware Workstation Player
世の中には複数の仮想化ソフトが存在していますが、今回ご紹介するのは「VMware Player Workstation」。
VMware Workstation Playerは個人利用であれば無料というメリットがあります。仮想化ソフトが高価では手が出しづらいですよね。「置き場所に悩んでも1台PC用意したほうがいい」という人もいるでしょう。その心配は無用というわけです。
VMwareというブランドは高い信頼感も与えてくれます。我々が普段利用するパソコン(*)の仮想化技術を1999年に世界で最初に実現したブランドこそVMwareです。以来この分野の第一人者であり続け、昨今は高価なサーバーの仮想化にも広く用いられています。「フリーソフトを検証するためにフリーの仮想化ソフトを入れてシステムの安全性は保てるの?」なんて心配も必要ないわけです。
*厳密にはx86アーキテクチャを実装したCPU(つまりPentiumやCoreやXeonなど)を搭載したコンピュータというべきでしょう
VMware Workstation Playerのインストール
VMware Workstation PlayerはVMware社のWebサイトから無償でダウンロードが可能です。早速上のリンクからWebサイトへアクセスしてみましょう。
[今すぐダウンロード]をクリックします。
Windows版の[ダウンロード]をクリックします。本記事では対象としていませんが、下のLinux版をダウンロード、インストールすることで、Linux環境でも使用できます。
ダウンロードしたファイルを実行し、インストーラーを起動します。
画像のようなダイアログが表示された場合、[はい]をクリックします。いわゆるランタイムがインストールされていない場合のみ表示され、[はい]をクリックすることでインストールができます。
再起動後には再度ダウンロードしたファイルを実行し、インストーラーを起動します。
[次へ]をクリックします。
使用許諾契約書の内容に同意できる場合は、[使用許諾契約書に同意します(A)]にチェックを付け、[次へ]をクリックします。同意できない場合は、ここで[キャンセル]をクリックして作業を中断してください。
基本的にはそのまま[次へ]をクリックします。インストール先を変更したい場合、先に[変更...]をクリックしてインストール先を指定してください。[拡張キーボードドライバ]をインストールした場合、仮想マシンへCtrl + Alt + Delの入力が可能となります。これを用いなくてもCtrl + Alt + Insertで代用が可能なため、私は不要と判断します。
基本的にそのまま[次へ]をクリックします。勝手に通信するのが嫌な人はそれぞれチェックを外すといいでしょう。
基本的にそのまま[次へ]をクリックします。私はデスクトップショートカットが不要なため、[デスクトップ]のチェックを外しています。
[インストール]をクリックします。
インストールの完了を待ちます。
[完了]をクリックします。
スタートメニューを開き[VMware Workstation 15 Player]をクリックします。
[続行]をクリックします。
[完了]をクリックします。
VMwareが起動したことを確認します。これでインストール作業は完了となります。
初回起動時にはこのような画面が表示される場合があります。基本的に[このバージョンをスキップ]をクリックします。VMware Workstation Proはより多機能で商用利用が可能なエディションです。興味があれば[詳しい情報]から参照してみてもいいかもしれません。
【使用例】評価版Windowsを用いたテスト環境構築
ここまででVMware Workstation Playerのインストールが完了しました。続いて実際の使用方法の解説を兼ねながら、評価版Windows 10を用いてテスト環境を構築してみようと思います。
評価版Windows 10のダウンロード
上のリンクをクリックし、Microsoft社のホームページへアクセスしましょう。
Windows 10 Enterpriseの[ISO - Enterprise]が選択されていることを確認し、[次へ]をクリックします。
画面上に表示される項目の入力を行います。私は画像のように入力を行いました。「個人」での利用が認められているのかと不安になりそうですが、[インストールの前に]セクションの[注意事項]には以下のような記載があります。
この評価版ソフトウェアは、組織への導入を検討するために Windows 10 Enterprise の試用を希望される IT プロフェッショナル向けに設計されています。お客様が IT プロフェッショナルではない場合、または企業ネットワークまたはデバイスを管理する業務についていない場合は、この評価版ソフトウェアをインストールすることはお勧めしません。
個人利用では「企業ネットワークまたはデバイスを管理する業務」には該当しません。この場合「インストールすることはお勧めしません」と記載されています。つまりインストールが禁止されているわけではありません。心配はなさそうです。
[ダウンロード]をクリックします。
[ダウンロード]をクリックします。ダウンロードが開始されるので完了を待ちましょう。
仮想マシンの作成
Windows 10をインストールするための仮想マシン(データ上のコンピュータ)を作成しましょう。まずVMware Workstation Playerを起動します。
[新規仮想マシンの作成(N)]をクリックします。
[後でOSをインストール(S)]を選択し、[次へ(N)]をクリックします。
そのまま[次へ(N)]をクリックします。Windows 10 の64ビット版であるためそのままですが、異なるOSの場合適宜変更します。
[仮想マシン名]を任意に入力し[次へ(N)]をクリックします。今回は「WIN10TEST」としましたが、ご自身がわかりやすい名前を入力して頂ければ大丈夫です。
仮想マシンのデータはファイルに保存されます。保存場所を変更したい場合は[参照(R)]から適宜変更してください。
[仮想ディスクを単一ファイルとして格納(O)]を選択して[次へ(N)]をクリックします。
仮想マシンのサマリーが表示されます。選択したOSに応じて推奨環境が設定されます。ここではあえて設定を変更するため[ハードウェアをカスタマイズ(C)...]をクリックします。
メモリ容量の設定が可能です。デフォルトでは2GBに設定されていますが、画像のように8GBに変更する場合、画像赤枠内の[8GB]という文字列をクリックします。ご自身のパソコンのメモリー容量以下で設定してください。
CPUを設定するには[プロセッサ]をクリックします。[プロセッサコアの数]を適宜変更することで仮想マシンのCPUコア数を変更できます。。画像では4コアに設定しましたが、ご自身のパソコンのコア数以下で設定してください。
光学ドライブを設定するには[新規 CD/DVD(SATA)]をクリックします。今回はダウンロードした評価版Windowsをインストールするため、[ISO イメージファイルを使用する(M):]を選択し、[参照(B)...]をクリックしてダウンロードしたISOファイルを選択します。
ネットワークの接続方法を設定するには[ネットワーク アダプタ]をクリックします。今回は最も物理マシンに近い動作をさせるため[ブリッジ: 物理ネットワークに直接接続(B)]を選択します。
音声の出力方法を設定するには[サウンド カード]をクリックします。今回のテスト環境では音声出力を行わないため、[削除]をクリックし仮想マシンからサウンドカードを削除します。
印刷の出力方法を設定するには[プリンタ]をクリックします。今回のテスト環境では印刷を行わないため、[削除]をクリックし仮想マシンからプリンタを削除します。以上でハードウェアのカスタマイズは終了のため、[閉じる]をクリックします。
仮想マシンのサマリーにハードウェアの変更が反映されていることを確認し、[完了]をクリックします。
仮想マシンへWindows 10をインストール
Windows 10の評価版のダウンロードが完了し、仮想マシンの作成も完了しました。いよいよWindowsをインストールし、仮想マシンを使用できる状態にしようと思います。
作成した仮想マシン(WIN10TEST)の[仮想マシンの再生]をクリックします。
このようなダイアログが表示されますが、[後で通知する(R)]をクリックします。
ダイアログの対処をしてるうちに、おそらく画像の状態になっていると思います。画像では撮りそこねてしまいましたが、赤枠内の[▼]をクリックし[ゲストを再起動]をクリックします
[はい]をクリックします。
このように表示されるため、キーボードのいずれかのキーを押してください。この際、ウインドウ内を必ずクリックした状態で操作してください。
このようにウインドウ内にWindows 10のインストール画面が表示されます。後はウィザードに従ってインストールを完了させてください(Windowsのインストール方法は物理環境と同様のため割愛)。
Windows 10のインストールが完了すると、このようにVMware内に仮想マシンのWindows画面が表示されます。これで仮想マシン上でのWindowsの利用が可能となりました。
(オプション)VMware Toolsのインストール
仮想マシン上でのWindows 10が利用とはなりましたが、実はこのままでは不便な要素がいくつかあります。物理環境と比べ大幅に遅かったり、仮想マシン内と物理マシンのデスクトップとをシームレスにカーソル移動できなかったり。
こういった問題を解消するために、VMware Toolsというサポートツールが用意されています。仮想マシン内にインストールすることで有効となるため、この方法を解説します。
[Player(P)] - [管理(M)] - [VMware Tools のインストール(T)...]をクリックします。
[ダウンロードしてインストール(D)]をクリックします。
ダウンロードの完了を待ちます。
ダウンロードが完了すると仮想マシン内の光学ドライブにVMware Toolsのインストールディスクがマウントされます。通知表示などで確認します。
仮想マシン内のPCを開き、DVDドライブをダブルクリックします。
[次へ(N)]をクリックします。
[次へ(N)]をクリックします。
[インストール(I)]をクリックします。
インストールの完了を待ちます。
[完了(F)]をクリックします。
[はい(Y)]をクリックします。ここで再起動されるのは仮想マシンです。
仮想マシンの再起動が完了すると、通知領域にVMware Toolsのアイコンが表示されています。これでテスト環境用の仮想マシン作成は完了となります。
おわりに
仮想化というのはやや専門性の高い技術です。最初のうちはVMware Workstation Playerの画面の文言もずいぶんととっつきにくく感じるかもしれません。
しかし、テスト環境用に新しいPCを購入する費用を削減でき、普段使用しているPC環境を危険に晒す必要性もなくなると思えば、この手順だけでも習得してみる価値はあるのではないでしょうか。
今回はご紹介しませんでしたが、VMwareの仮想マシンではLinuxなどWindows以外のOSのインストールも可能となっています。ここまで読んで頂いた方には、是非様々な可能性を秘めた仮想化の世界に触れてみて頂ければと思います。